東京大学の研究グループはこのほど、量子コンピュータの内部で発生したエラーを、
一般的なデスクトップPCで正確に高速で計算できる手法を開発したと発表した。量子的なエラーを粒子の運動に捉え、
通常のPCでも計算可能にした。実用的な量子コンピュータの開発に役立つという。

 量子コンピュータは、量子ビットという情報単位を用いる。0と1に加え、0と1の「重ね合わせ状態」(量子の重ね合わせ)を表すことができ、
よりたくさんの値を扱えるため従来の計算や解析を短時間で行えるといい、米MicrosoftやGoogleなどが実用化を目指している。

 量子ビットには、0と1が入れ替わる通常のエラー以外に、0と1の「重ね合わせ」の比率が少しだけずれる特有のエラーがある。
量子コンピュータの開発には、このエラーを訂正しながら計算を続ける仕組み「量子誤り訂正」が必要だが、
エラーをどの程度減らせば訂正がうまくいくかを見積もるには計算量が膨大になり、
「量子コンピュータの実現には量子コンピュータが必要」というジレンマに陥る可能性があった。

 研究グループは、量子誤り訂正が「フェルミ粒子」の運動を表したモデルが当てはまることを発見。
この運動は通常のPCでもシミュレートできるため、エラーに対応する粒子の運動を計算すれば、
量子コンピュータが正しく誤りを訂正できているかを確かめられるという。

 研究成果は、米科学誌「Physical Review Letters」(オンライン版)に11月9日付で掲載された。

ITmedia NEWS
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