小堀龍之2017年9月20日21時0分
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初期のペロブスカイト太陽電池(手前)と、宮坂力さん=2014年、小堀龍之撮影
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ペロブスカイト太陽電池の試作品


 米国に本拠を置く学術情報会社「クラリベイト・アナリティクス」は20日、10月に発表されるノーベル賞の新たな有力候補22人を発表した。日本人では化学賞候補に、新型太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」を研究する、宮坂力(つとむ)・桐蔭横浜大学特任教授(64)を選んだ。
 宮坂さんは神奈川県出身。特殊な結晶構造の一種「ペロブスカイト」が太陽電池として使えることを発見し、2009年に報告した。材料を塗るだけでつくれたり、曲げたり半透明にしたりできるのが特徴で、次世代太陽電池の一つとして期待されている。
 現在は耐久性などに課題があるが、コストが低く、窓や壁に貼るなど、従来のシリコン太陽電池とのすみ分けも目指せる技術だ。宮坂さんは「多くの人のつながりが研究を成功させたと考えています。
研究が産業実用化に発展し、社会貢献を果たすのを見届けたい気持ちです」とコメントした。同じペロブスカイトの研究で韓国と英国の研究者も選ばれた。
 クラリベイト社は論文の引用データを分析し、2002年から毎年ノーベル賞の有力候補を発表している。このうち、43人が実際にノーベル賞を受賞。日本人では医学生理学賞を昨年受賞した東京工業大の大隅良典栄誉教授や、物理学賞を14年に受賞した中村修二氏などがいる。
 クラリベイト社は昨年10月、トムソン・ロイターから独立した。(小堀龍之)
http://www.asahi.com/sp/articles/ASK9N5Q8DK9NULBJ00P.html