9月15日 17時22分
国立研究開発法人の海洋研究開発機構は、地球の内部にある岩石の層「マントル」を世界で初めて直接掘削して観測するプロジェクトに向け、16日からハワイ沖で事前の海底調査を始めることになりました。専門家は「地球の成り立ちを知る第一歩になる」と話しています。
「マントル」は、海底から6キロほどの深さの地球内部にある厚さおよそ2900キロメートルに及ぶ岩石の層で、地球の体積の8割を占めています。地震の発生や大陸の形成など地球のダイナミックな動きと関連しているとされますが、まだ直接観測されたことはなく、詳しい性質などはわかっていません。

海洋研究開発機構は、世界で初めての直接掘削に向けて16日からおよそ2週間、太平洋のハワイ沖で、海底からマントルまでの距離が近い場所を、音波などを使って調査することになりました。

今後、中米のメキシコやコスタリカの沖合でも、掘削に適した場所を調べたうえで、10年後をめどに、世界トップレベルの掘削能力をもつ探査船「ちきゅう」を使って、マントルの掘削を実現したいとしています。

プロジェクトの中心的なメンバーでマントルに詳しい、静岡大学の道林克禎教授は「マントルには地球がどうのように作られどうなっていくかを知る手がかりがある。今回の事前調査が第一歩になると期待している」と話しています。
マントル 掘削の歴史と概要
「マントル」の掘削は、1960年代にアメリカが月面探査の「アポロ計画」と並ぶプロジェクトに位置づけ、海からの掘削に挑もうとしたことがありますが、当時は、費用がかかりすぎるなどとして断念されました。

今回のマントルの掘削は、海洋研究開発機構を中心にアメリカ、イギリス、フランスなど世界各国の研究者も参加して行われる国際プロジェクトで、2020年代後半の掘削の実施を目指して計画が進められています。

ただ、1万メートル以上という深さまで掘り進むためには、硬い岩盤を砕いて進むドリルなどが必要で、海洋研究開発機構などは、掘削に適した場所の調査と並行して技術開発を進めることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170915/k10011141021000.html