2017年08月30日 17時57分
(画像)
イタチの仲間のフェレットの脳は、マウスより発達していてシワがある(左はWikimedia Commons、右は金沢大学)


 昔から脳にシワが多い人は知能が高いと言われるように、大脳皮質の表面面積が増えることで、より多くの情報を処理し、脳の機能が高まると考えられている。金沢大学の研究グループは、ヒトに近い発達した脳を持つイタチの仲間のフェレットを対象に、ゲノム編集技術を使って、脳にシワができる仕組みを突き止めた。

 人類が進化したのは、脳のシワによって神経細胞を持つことができるようになり、脳の機能が高まったからだと考えられている。しかし、医学研究用に使われるマウスの脳はシワがないため、その仕組みはよくわかっていないのが現状だ。

 金沢大学の河ア洋志教授と新明洋平准教授らのグループは、マウスに比べて発達した脳を持つフェレットに着目し、ゲノムの狙った部分だけを破壊する最新技術を使って、
大脳皮質にある特定の遺伝子「Cdk5」を破壊すると、脳のシワができなくなることを発見。さらに、大脳皮質の表面側の神経細胞でこの遺伝子が働くことで、脳のシワができることをつきとめた。

 研究グループは、「今回開発したゲノム編集技術を使って、今後はマウスでは不可能だったヒトの進化の過程の解明や、脳のシワが原因の病気の研究に結びつけたい」と話している。

 なおこの研究成果は、米科学誌『セル・リポーツ』に掲載された。

(画像)
人間の脳にはシワがあるが、マウスやラットは「つるん」としているので、シワができる仕組みが研究できなかった!(Wikimedia Commons)
(画像)
左は正常な脳のシワの断面、右はCdk5遺伝子を破壊してシワがなくなったフェレットの脳(金沢大学)


http://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/1/21721.html