【社会】
司法取引の導入明記 法制審部会最終案 通信傍受拡大も
2014年7月1日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014070102000123.html

 捜査と公判を見直す法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が三十日開かれ、
法務省が最終案を示した。取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける範囲を
裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限る一方、司法取引の導入や通信傍受の拡大など
新たな捜査手法を明記。異論は一部にとどまり、刑事司法の姿を大きく変える制度の導入が確実となった。

 法制審は最終案を基に法相に答申し、法務省は来年の通常国会で刑事訴訟法などの改正案提出を目指す。

 最終案が録音・録画の義務付け対象にしたのは全起訴事件の約3%にとどまる。
これ以外の事件については「運用で可能な限り幅広く録音・録画されることを期待する」
と付帯事項に記載した。

 冤罪(えんざい)被害に遭った厚生労働次官の村木厚子委員は、対象が狭いことにあらためて
懸念を表明しつつ「『期待』でなく制度として盛り込まれれば」と条件付きで賛同した。

 容疑を認めるまで保釈せず、冤罪の温床とされる「人質司法」の解消策として、居住先の指定など
条件を課す代わりに、身柄拘束せずに捜査をする「中間処分」の創設も検討したが見送った。

 新導入される見通しの司法取引のうち「協議・合意制度」は、他人の犯罪で捜査協力した
容疑者や被告に、検察が起訴の見送りなどの見返りを与える仕組み。殺人事件などは対象から外し、
汚職や脱税、談合などの経済犯罪、銃器・薬物犯罪などに限定した。

 検察官が刑事責任を追及しないと約束し、法廷で他人の犯罪を証言させる「刑事免責制度」も
盛り込まれた。自分の犯罪の重要事実を明かした被告の刑を軽くする制度は、反対論が強く外れた。
(続く)