「所長……そんなに悩まないで」

 探偵助手である彼は
優しい口調で、彼女へ言葉を投げかけると
窓辺にたたずむ、ツン所長の肩に手をのせた

 彼女のサラサラとした 美しく長い髪を軽く整えたあと
キョロキョロと周りを見渡した。

「相変わらず綺麗ですよ所長 ……いえ、ツン綺麗だ 」
 彼女の丁寧に手入れされた髪に見とれている助手
その下の憂いを含んだ頬に、唇を寄せていく

「おっと! いけない
仕事中にキスしては・・・ボクは職務違反ですね」

 彼は寸前で口付けを中止して
残念そうに彼女の黒髪を何度も撫でた
その掌の下に居る彼女の顔が紅く染まり、かなりの熱気を放っている

しばらくして彼女は、ゆっくりと振り向いて言った

「この案件の答えは出たわ
この兄さんは、軽犯罪を犯しています・・・残念ながら
でもね弟さんは、人の心を犯してるのよ・・・これは重罪に値するわ、いいこと?」

「ははは、そうですね。 さすがは僕の尊敬する所長、良い判定だと思います」
「うふふ。 アンタならそう言うと思ったわ・・・これで今日の仕事は終了に出来るわね♪」

彼女は即座に黒髪をひるがえすと可憐な唇を突き出しながら、助手の唇を奪った ―――完―――