2020年9月28日 10時23分

 【モスクワ=小柳悠志】旧ソ連圏のアルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフ自治州で27日、両国軍が衝突し、双方合わせ少なくとも23人が死亡した。アゼルバイジャンは係争地の一部の村を奪還したと宣言。両国とも同日、戒厳令を敷いた。
 ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領だが、アルメニアが実効支配している。ロシアメディアがまとめた両国当局の発表で、戦闘の死者はアルメニア側が民間人2人と軍人16人、アゼルバイジャン側は民間人5人。両国とも相手が攻撃を仕掛けたと主張している。
 アルメニア国防省報道官は「アゼルバイジャンの兵士約200人を殺害した」と主張し、軍用ヘリコプター2機と戦車3台、ドローン複数を破壊したと発表。アゼルバイジャン国防省は、アルメニアの地対空ミサイルを破壊したとしている。
 両国に影響力を持つロシアの外務省は双方に即時停戦を求めた。プーチン大統領もアルメニアのパシニャン首相との電話協議で武力衝突に懸念を表明。一方、アルメニアと対立するトルコのエルドアン大統領は、アゼルバイジャンを支持すると明らかにした。
 ナゴルノカラバフは約30年にわたりアルメニアとアゼルバイジャンの係争の地となり、両国軍の小競り合いが続いている。今年7月には両国の北部の国境で死者を出す軍事衝突が起きており、両国民の間で対立感情が強まっていた。

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