・オーストラリアの「反暗号化法」が、あなたのプライヴァシーにも影響する: LILY HAY NEWMAN https://twitter.com/lilyhnewman

オーストラリアで18年12月に可決された通称「反暗号化法」。法執行機関や諜報機関がテック企業に暗号化された通信へのアクセスを求められるようにするこの法律に対し、世界各国の専門家やプライヴァシー擁護派が警鐘を鳴らしている。南半球の一カ国で可決された法律は、世界にどんな影響を与えるのか。

オーストラリア連邦議会が12月6日、物議を醸したある法案を可決した。

「反暗号化法」の通称をもつこの法案は、法執行機関や諜報機関がテック企業に対し、暗号化されたデジタル通信へのアクセスを求められるようにするものだ。この法案の可決によって、オーストラリア当局は企業たちに、「WhatsApp」や「iMessage」といった暗号化されたメッセージングプラットフォームへのバックドアの設置を強制できるようになる。

暗号学者やプライヴァシー擁護派たちは、公共の安全や人権の面からバックドアの設置に強く反対してきた。彼らは、この法案が重大なリスクを抱えており、その影響は全世界に広がるだろうと警告している。

・すべてを秘密裏に進めることも可能
この法案は何カ月にもわたって批判を受けてきた。適用範囲があまりに広く、定義もあいまいで、危険をはらんでいる、というのが批判の内容である。

何しろ、テック産業はグローバル展開しているのだ。オーストラリア政府が法的執行機関のために製品のセキュリティーを弱めることを強制すれば、世界中にバックドアが生まれることになり、それはオーストラリア国外の犯罪組織や政府にも悪用されやすくなる。さらに、企業がオーストラリアの法執行機関向けのアクセスツールを作成すれば、ほかの国も同じ機能を要求するのは必然だろう。

この新法はまた、当局者が企業内のキーパーソンなど特定の個人に接触し、セキュリティーの弱化を要請することも認めている。企業や機関に対してではなく、社員個人にだ。

例えば、当局者は製品アップデートの検査・推進を担当するエンジニアやIT管理者に対し、製品のセキュリティーを弱めるよう強制できる。さらにいくつかの状況においては、政府は個人や少数の人々に対して、セキュリティーの弱化を秘密裏に進めるよう強制することすらできるのだ。

オーストラリアの法律では、これらの法律の順守を拒否または怠った企業に対して最高1,000万オーストラリアドル(約7億7,600万円)の罰金を科せる。さらに、個人は拒否すると刑務所で服役させられる場合があるという。

それにもかかわらず同国の議員たちはこの法案を称賛し、組織犯罪や対テロ捜査で素晴らしい効果が得られるとしている。当初は草案に対して大規模な修正を求めていた議会内の反対派でさえ、結局12月6日には折れてしまった。

「不適切な法案ですが、議会で可決されるでしょう。そうなれば、治安当局は彼らが必要だと主張しているツールを手に入れることになります」。野党である労働党党首のビル・ショーテンは、報道陣に対してそう語っていた。

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(画像)
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2019.01.09 WED 08:30 WIRED JP
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