・2018年の主要な軍事ニュース

新兵器の発表、軍事力の強化、各国の軍事費の増加--これらはすべて2018年に世界の緊張が高まった結果である。シリアでの情勢悪化はアメリカと同盟国によるシリアの大規模空爆につながった。一方で、同国にロシアの防空システムが配備されたことで緊張状態は少し緩和し、年の後半は挑発の件数も減少した。スプートニクはこの総括記事で、昨年発生した軍事分野での主な出来事を紹介する。

・ロシアの新兵器。侵略ではなく、必要に迫られた措置

2018年前半、世界の世論は、極秘に開発が行われてきたロシアの新兵器の発表に騒然とした。3月1日、プーチン大統領は連邦会議(上院)向けの教書演説で、原子力エンジンを搭載し、無制限の巡航距離を持つ巡航ミサイル「ブレヴェストニク」のような最新の兵器開発について発言した。また、ミサイル防衛システムで防御された地域を迂回することができ、その点で通常の大陸間弾道ミサイルとは異なる超音速ミサイルシステム「アヴァンガルド」も発表された。さらに、このミサイルは音速の20倍の速さで進むことができる。また、最新のレーザー兵器「プロスヴェト」など、多くの兵器が発表された。

欧米諸国はロシアが軍事ポテンシャルを増強し、軍拡競争を誘発していると非難した。

極音速ミサイル「キンジャール」を搭載した多用途戦闘機「ミグ31」
国防最前線 最新鋭ロシア兵器が核均衡を回復する仕組みとは
ロシアはその非難を反駁した。大統領によると、これは必要に迫られた措置であり、新兵器システムの開発が始まったのは、アメリカが、とりわけロシア国境付近へのミサイル防衛システムの配備に関して妥協する用意がないことが明らかになってすぐのことだった。
シリア情勢

2018年にシリア情勢が大きく緊張化したのは、アメリカとフランスと英国がシリア政府施設に対して一連のミサイル攻撃を行った4月半ばのことである。欧米の大国は、これは政府軍がドゥーマ市で化学兵器を用いたことに対する報復だと述べた。シリア政府はこの非難を否定しており、この攻撃は国際法違反だとしている。

・シリアに供給されたロシアの防空システム

2018年の秋、ロシアはシリアに防空システムS-300を供給した。その原因となったのが、10月17日に発生した惨事である。ロシア航空宇宙軍の偵察機IL20が地中海沿岸から35キロメートルの地点でシリアの防空システムに撃墜された。ロシア国防省が後に述べたところによると、ラタキア付近にいたイスラエルのパイロットが、ロシア機を隠れ蓑にして飛行し、シリアの防空システムにロシア機を攻撃させた。

・ケルチ事件

昨年はまた、ロシアとウクライナの軍事衝突に発展しかねなかったケルチ海峡(アゾフ海と黒海を結ぶ海峡)での深刻な事件でも記憶に残るだろう。
ウクライナ海軍の発表によれば、ウクライナの小型装甲砲艦2隻と急襲用タグボート1隻の計3隻は、オデッサ港からウクライナのマリウポリまで、計画されていた通りの航行を行っており、航行についてはロシア側にあらかじめ通知がなされていた。11月25日夜、ウクライナの船が通航しているさなかにロシアの軍艦がこれに対して発砲した。ロシア連邦保安庁は、この結果、3人が負傷したことを明らかにしている。拿捕されたウクライナの3隻はケルチ港へと牽引された。11月26日、ケルチ海峡は民間の船舶の航行のためにロシアによって閉鎖が解かれている。11月25日、アゾフ海と黒海をつなぐケルチ海峡がロシアによって遮断された。ロシア連邦保安はこの措置がとられた理由について、同日朝、ウクライナ海軍の3隻の艦船が黒海における「一時的に閉鎖されたロシアの水域に非合法的な侵入を行った」ためと説明している。ケルチ海峡での事件を受け、11月25日深夜、ウクライナ国家安全保障・国防会議が招集され、投票の結果、戒厳令の発令が決められた。翌26日、日中、同会議の決定をポロシェンコ大統領が承認。これによってウクライナのいくつかの地域に限り、30日間にわたる戒厳令が敷かれた。

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2019年01月05日 23:04 スプートニク日本
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