・オランダ鉄道、強制収容所に移送したユダヤ人遺族に個人補償へ

【11月28日 AFP】オランダ鉄道(NS)は27日、第2次世界大戦(World War II)中に同社の鉄道を使ってナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所に送られたユダヤ人の遺族に対して、個人を対象とした補償金の支払いに応じる考えを明らかにした。NSはこの問題をめぐって公式な謝罪はしていたが、個人補償に応じるのは初めて。移送されたユダヤ人には、アムステルダムで隠れ家生活を送っていた間に書いた日記で知られる少女、アンネ・フランク(Anne Frank)も含まれる。

 地元サッカークラブ「アヤックス(Ajax)」の元理学療法士で、戦時中に両親を失ったサロ・ミュラー(Salo Muller)氏が昨年半ば以降、NSによる個人補償を求めて同社のロジャー・ファンボクステル(Roger van Boxtel)最高経営責任者(CEO)と話し合いを行っていた。

 NSの発表文によると、「道義的な理由」から個人への補償金を支払えるかどうかを検討する委員会の設置を決めた。

 ミュラー氏の両親はアムステルダムからオランダ北東部にあるウェステルボルク(Westerbork)通過収容所に鉄道で移送された後、さらにポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所に移され、そこで死亡した。

 NSは、ナチス・ドイツが1940年5月にオランダに侵攻し、占領した後も、ほかの多くのオランダ企業と同様にナチスのために営業を続けた。

 オランダ放送協会(NOS)の報道によれば、NSはユダヤ人家族をウェステルボルクに輸送することで多額の収入を得ていた。家族らと隠れて生活していたアムステルダムで密告され、ナチスの秘密警察ゲシュタポ(Gestapo)に逮捕されたアンネも、1944年8月8日にNSの鉄道でウェステルボルクに送られた。

 ウェステルボルク通過収容所には、当時オランダにいた14万人ほどのユダヤ人のうち約10万7000人がいったん収容された。ユダヤ人たちはその後、ポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウやソビブル(Sobibor)、ドイツ西部のベルゲン・ベルゼン(Bergen-Belsen)にある強制収容所に送られた。

 NSは自社が戦時中に担った役割について2005年に公式に謝罪していたが、個人補償はこれまで行っていなかった。(c)AFP

・NS TO PAY DAMAGES FOR HOLOCAUST TRANSPORTS
https://nltimes.nl/2018/11/28/ns-pay-damages-holocaust-transports

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2018年11月28日 13:30 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3199481?act=all