カリスマ的人気で知られる米ジャズサックス奏者ジョン・コルトレーン(1926〜67)の未発表だった
55年前のスタジオ録音が、29日にCDと配信で世界同時発売される。
行方不明だったテープが元妻の娘の元に残っていた。コルトレーン絶頂期の姿が垣間見える。

 タイトルは「ザ・ロスト・アルバム」。63年3月6日、
ニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音。
マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルビン・ジョーンズ(ドラムス)との
「黄金のカルテット」の演奏だ。コルトレーンは当時、新興レーベルのインパルスと契約。
日本でも人気の「バラード」「ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン」などのアルバムを、
この4人で次々と吹き込んでいた。

 2005年に録音テープが元妻ナイーマの娘の元にあることが判明。権利関係の処理に時間がかかったが、
約47分全7曲のアルバム化が実現した。2曲は未発表のオリジナル曲。
「バラード」などのムーディーな路線ではない、本来の熱気あふれる演奏だ。

 当時の米国は64年の公民権法、65年の投票権法制定と人種差別撤廃の機運が高まっていた時期。
南部出身の黒人だったコルトレーンは社会情勢や事件に反応した曲作りもしていた。

 日本盤で解説を書くコルトレーン研究家の藤岡靖洋さんは「最も脂がのった時期の録音。
社会の変革期に対する思いもうかがえるような文句のつけようのない演奏だ」と話している。

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朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL665RHML66UCVL017.html