日立製作所が英国中部で計画する原発新設プロジェクトをめぐり、
英国政府は、事業に必要な借り入れの全額を債務保証する案を日立側に提示した。
これまで邦銀からの借り入れは日本政府が債務保証する方針だった。
日立から支援強化を求められていた英政府が、資金面での関与強化を示した格好だ。
これを受け、日立は月内にも投資継続を判断するとみられる。

 日立の中西宏明会長と英国のメイ首相は3日、ロンドンで会談し、政府支援を巡って協議した。
英国側は債務保証を含めた支援の意向を伝えて事業遂行を求めた模様だ。

 日立は2012年に英原発会社を買収し、20年代半ばの稼働を目指して原発建設計画を進めている。
関係者によると、事業費の総額は3兆円程度を見込み、これまでの交渉では約2兆円を両国の金融機関からの融資で、
残る約1兆円を日立と両国政府・企業の出資でまかなう案が検討されている。

 融資には、日本から三菱UFJ銀行など3メガバンクと政府系の国際協力銀行が参加する予定で、
従来は政府全額出資の日本貿易保険が3行の融資を債務保証する計画だった。
しかし4月下旬、英政府が日英双方の銀行融資を全額債務保証する意向を日立側に示したという。
これに先だって、日立は英政府の十分な支援が得られなければ事業から撤退する可能性があるとの考えを伝えており、
英国側は支援策の一環で提示したとみられる。

 債務保証によって、事故などで融資が焦げ付いた場合は、最終的に英国民が負担を強いられる可能性がある。
日本政府が債務保証する場合に比べて日立の負担が直ちに減るわけではないが、
プロジェクトが失敗した場合のリスクを英政府が負うことで、今後の英政府の継続的な支援が期待できる意味がある。

画像:英国のメイ首相
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毎日新聞
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