陰謀論とは、一般に広く認められている出来事の裏に「大衆に隠されている真実がある」とする意見のこと。
有名な陰謀論には「アメリカ同時多発テロ事件陰謀説」や「三百人委員会」などがありますが、
偏った意見である陰謀論を信じ込んでしまわないように、
「陰謀論に関するムービーにはWikipediaへのリンクを貼る」とYouTubeが発表しています。

YouTube will add information from Wikipedia to videos about conspiracies - The Verge
https://www.theverge.com/2018/3/13/17117344/youtube-information-cues-conspiracy-theories-susan-wojcicki-sxsw
https://i.gzn.jp/img/2018/03/14/youtube-will-add-wikipedia/00_m.jpg

2018年3月13日、YouTubeのCEOであるスーザン・ウォシッキー氏は、
「有名な陰謀論をテーマにしたYouTubeの動画に、Wikipediaのリンクを貼る」と発表しました。
議論の余地がある陰謀論を解説したムービーに対し、
「インフォメーション・キュー」と呼ばれるWikipediaへのリンクを貼ることで、
視聴者に中立的な視点を提供できるとのこと。


ウォシッキーCEOはオースティンで開かれた座談会で、
「アポロ計画による月面着陸はフェイクである」とする「アポロ計画陰謀論」と、
「飛行機雲は何らかの目的で散布されている有害物質である」とする「ケム・トレイル」に関するムービーを例にして、
「インフォメーション・キューはムービーの下部に、リンク付きのテキストラインとして表示されます」と語りました。
Wikipediaの注釈を添付する陰謀論のリストも、Wikipediaに掲載された陰謀論の一覧をもとに作成しているとのこと。

YouTubeが陰謀論関係のムービーにこうした対策を取るのは、
「YouTubeは再生数稼ぎを目的とした、過激な論調のムービーを野放しにしている」という批判が
2016年のアメリカ大統領選挙以来寄せられているためです。偽の情報が拡散しづらいように検索エンジンを改良したことに加え、
陰謀論関係のムービーそのものに対して、反対意見ともいえるWikipediaの情報をリンクさせることで、
より中立な視点を視聴者に提供します。

Wikipediaはボランティアの編集者たちによって書かれたオンライン上の百科事典であり、
時として不正確な記述がなされていたり、特定の個人を中傷する目的で恣意的な編集がされたりすることもあるため、
大学生がレポートなどに引用することを禁じられている場合もあります。
しかし、一般にWikipediaの情報は大部分が中立的な視点から記述されており、
センセーショナルな陰謀論と比べると偏見の少ない意見を手に入れられるはずだとのこと。

ウォシッキーCEOはYouTubeがインフォメーション・キューを添付する陰謀論のリストが、
いったいどれほどの数になっているのかを明らかにしませんでした。
ただ、「私は『インフォメーション・キュー』には拡張性がある点が気に入っています。
YouTubeは将来的に、議論の余地があるムービーに添付するテキスト量を増やしていく可能性があり、
また時間と共にインフォメーション・キューを添付するムービーのリストも拡大するかもしれません」とウォシッキーCEOは述べており、
インフォメーション・キューがより多くの情報量を持つ可能性を示唆しました。

インフォメーション・キューは今後数週間以内に、主要な陰謀論のムービーに登場する予定です。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180314-youtube-will-add-wikipedia/