「一般教書演説」で政権2年目の方向性を読む

〈トランプ大統領の変身は本物?〉

ということでアメリカのドナルド・トランプ政権への対応も、2年目になると少し楽になるはずである。
思えば最初の1年は何度も不意打ちを食らって、驚いたり頭を抱えたりしたものだ。
しかるに幸いなことに判断材料は着実に増えている。

1月末から2月にかけての最大の注目点は、トランプ大統領にとって初めてとなる一般教書演説であった。
トランプ政権は、ここへきて微妙な変質を遂げている。
”Fire and Fury”なる暴露本の登場に激怒して、かつての腹心、
スティーブ・バノン前首席戦略官とは袂を分かった。
そのせいか1月26日、スイス・ダボスにおける世界経済フォーラムに出席した際には、
世界の首脳や企業家たちを前に、一転して物わかりの良いところを見せたのである。

ダボス演説では、「アメリカファーストというのは、アメリカだけが良ければいいのではない。
アメリカが成長すれば、世界全体もそうなるからだ」と述べている。
TPPやパリ温暖化防止協定への復帰さえ示唆している。
いや、こんな風にまっとうな大統領になってくれるのであれば、世界経済にとってこんなにありがたい話はない。

そもそもトランプ大統領は「ポピュリスト政治家」であると同時に、「ニューヨーク育ちの大富豪」という面もある。
いい加減、バノン式の「経済ナショナリスト路線」とはおさらばして、
共和党らしい「プロ・ビジネスのグローバリスト路線」に転じても不思議はない。
果たして変身は本物なのだろうか。

そこで1月30日に行われた一般教書演説であるが、
ホワイトハウスのホームページには当日呼ばれたゲストの紹介欄が作ってある 。
議場の上のひな壇に招待客を呼んでおいて、「この会場には××州の○○さんがお見えです。
○○さん、ご起立ください。皆さん、拍手をどうぞ!」などと、
場を盛り上げるシーンはご覧になったことがあるだろう。

普通は有名人を呼んで、「えっ、あの人が?」などと驚かせるものだが、この辺がいかにもトランプ流で、
紹介されたのは無名の人ばかり。減税のお陰で家を建てた腕のいい職人さんとか、
カリフォルニアの山火事から子どもたちを救った功労者とか、
退役軍人のお墓に国旗と花を飾ろうとした今どき感心な子供とか、およそごく普通の市井の人々である。
ホームページの写真をとくとご覧あれ。
こう言っては失礼だが、われわれがアメリカに出張した際に出会うような人たちとはちょっと毛色が違う。
トランプ大統領が呼ぶ「忘れられた人々」とは、こんな感じの人たちであったのかと思わせる。

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東洋経済
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