◆【衝撃】「生まれた赤ん坊を再分配すれば人種差別はなくなる」 哲学に基づく“レイシスト撲滅法”が過激すぎる!

アメリカの哲学者ジョン・ロールズ氏が提唱した「無知のヴェール」をご存じだろうか。
彼の「正義論」の中でも、とりわけ物議を醸した概念として知られている。

■“赤ちゃん再分配システム”で人種差別がなくなる?

写真:ジョン・ロールズ氏
http://tocana.jp/images/weilofignorance1.JPG

彼のいう「原初状態」とは、自分と他者の能力や立場に関する知識を全く持たない条件下にあるとき、人は互いに嫉妬や優越感を持つことがないため、合理的な結論を導き出すというのだ。
しかも、皆選択肢から同じものを選ぶと。
つまり、自分は大統領令嬢なのかホームレスなのか、あるいは才能あふれるアスリート、生まれつきの遺伝子疾患者かなど「社会での自分の立ち位置」がわからないとき、人は最悪を想定し、それを最大限回避しようと試みるという。

これまでにも「無知のヴェール」を用いた“思考実験”は存在したが、このほどニューヨーク発、意識高い系サイト「Big Think」(12月8日付)が、挑発的な命題を繰り出し話題を呼んでいる。
ズバリ、「あらゆる人種の新生児がランダムに無関係の家族に割り当てられたら、人種差別はなくなるか?」だ。

この世に生まれてくる赤ん坊すべてが、新しく親となる人々に再分配されるシステムが確立したとしたら――。
白人、黒人、ヒスパニック、ミックスレースのカップルに対して、健康またはハンディキャップを持って生まれてきたベビーを無作為に手渡したら、どうなるだろうか。
両親が理解しているのは、受け取るベビーは自分たちと血のつながりがないということだけ。

■“無知のヴェール”で偏見、差別は解消可能

もちろん、倫理上不可能なことであり、実際に起こったら身の毛もよだつ計画といえよう。
なにしろ、自分に割り当てられた他人の子をまっとうに育てている間にも、実子は別の、たとえば薬物中毒の親の元で虐待されているなんてひとたび想像してしまえば、それだけで正気でいられなくなりそうだ。

しかし、結論から言えば、無知のヴェールをかぶってしまうと、そんなことは理論上、まったく気にならなくなるらしい。
なぜなら、どの子が自分の子どもであってもおかしくない場合、人は最悪を回避しようとするあまり、多くは他者への差別をやめるのだという。

白人の両親の元で黒人の子どもが育ち、その逆も然り。
そして、人種的隔たりによるスラム街や教育格差も消えてゆくというもの。
これが100年前のドイツやボスニア、パレスチナで実現できていたら、人種、宗教間の対立、虐殺は起こらなかったかもしれないとしている。

とはいえ、自分の子どもを赤の他人に育ててほしくて生むことは誰一人としてないだろうし、あくまでも議論をする上での仮説的状況というところだろう。
アメリカでは、21世紀の今日でも人種差別を根源とするヘイトクライムが後を絶たない。
「人類みな兄弟」の世界までは、まだまだ距離があるようだ。

TOCANA 2018.01.04
http://tocana.jp/2018/01/post_15483_entry.html
http://tocana.jp/2018/01/post_15483_entry_2.html