マグサイサイ賞

「アジアのノーベル賞」を上智大・石澤教授やデリマ前PEZA長官ら受賞

[ 883字|2017.9.1||文化・スポーツ ]
(写真)
授賞式でロブレド副大統領から記念の盾を受け取った石澤良昭教授=31日午後5時ごろ、首都圏パサイ市でクリスチャン・ディミトゥイ撮影


 「アジアのノーベル賞」と称されるマグサイサイ賞の授賞式が31日午後、首都圏パサイ市のフィリピン文化センターで行われた。今年はカンボジアの遺跡修復に尽力した上智大学の石澤良昭教授や、フィリピンの経済環境整備に貢献したリリア・デリマ比経済区庁(PEZA)前長官ら個人5人と1団体が受賞。受賞者らはロブレド副大統領から記念品を手渡された。
 マグサイサイ賞はアジアで社会や文化の発展に貢献した人物に贈られる。受賞者の一人、石澤教授は長年、数々の戦争や虐政を乗り越えて現在に姿を残すアンコールワットの修復に取り組んでいる。
同時に、現地の学生たちを指導し、カンボジア人自らが自国の文化の象徴である遺跡群の修復に取り組む仕組み作りに心を砕いたことも、高く評価された。石澤氏は受賞について、「大変光栄に思う。アジアの国々が共に文化を発展させていく中で、サポートできたことがうれしい」と喜びを語った。
 また、PEZA初代長官として21年間、4代の政権で外資誘致などに努めたデリマ氏は、受賞演説で「誠実さとプロ意識を持って仕事に取り組んだ結果」と、自らが歩んできた道を振り返った。デリマ氏は日系企業のPEZA進出と活動を継続的に支え、
2006年春には旭日重光章を受賞。比日本商工会議所の藤井副会頭は、「正義の味方のような人物で、日本企業で感謝しない企業はない」とデリマ氏の受賞に喜びを寄せた。
 そのほか、比からはマルコス政権下の戒厳令による弾圧を越えて、表現文化の発展に貢献した比教育演劇協会(PETA)も受賞。PETAは今年、創立50周年を迎える。授賞式では壇上と客席の団員らが、愛や自由の素晴らしさを表現した「マカバヤンスイート」を熱唱、会場は感動に包まれた。
 ロブレド副大統領は演説で「私たちの社会に驚くほど大きな希望をもたらした」と語り、授賞式を締めくくった。
 マグサイサイ賞はこれまで、日本人では元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんら32人が受賞。昨年は団体として初めて国際協力機構(JICA)のボランティア事業「青年海外協力隊」が受賞した。(伊藤明日香)

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