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2017/05/31(水) 18:21:48.81ID:CAP_USER[ワシントン 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ氏は米大統領就任後初の外遊で「アメとムチ」の戦略を採ったが、使い分けを誤った。
トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国をとがめて国防費増額を求める一方、サウジアラビアでは大型の武器売却契約をまとめて首脳らを褒め称えた。ただ、トランプ氏がより大きな譲歩をNATO加盟国から引き出したいことを考えれば、今回の手法はつじつまが合わない。
「The Art of the Deal(取引の技術)」と題した著作を持つトランプ氏は、今回の外遊における交渉で2つの顔を見せた。ブリュッセルで開かれたNATO首脳会議では、国防費を国内総生産(GDP)比2%とするNATO指針の水準に引き上げるよう加盟国に迫り、「多くの加盟国が負担を逃れている」と非難。帰国後の30日もツイッターにドイツは「NATOで支払っている軍事費があまりにも少ない」と投稿し、追い打ちを掛けた。
一方、サウジに対しては「偉大な国」と賛辞を送り、武器売却契約の調印式を開いた。今回の契約額は1100億ドルと、オバマ前政権時代の8年間の売却額に匹敵する。
トランプ氏は920億ドルに上る対欧州連合(EU)貿易の赤字を減らそうとしており、赤字の約70%を対独貿易が占める。しかし今回の一件で欧州諸国のトランプ離れは一段と進んだ。メルケル独首相は28日、欧州は自らの将来のために戦うべきだと述べた。米国の対サウジ貿易は100億ドルの黒字である上、イエメンにおけるイランとの代理戦争によってサウジを助けている。
欧州は経済的な重要度もサウジとは比べ物にならない。米商務省の統計によると、米国の昨年の輸出は対EUが5020億ドルで、対サウジは180億ドルにすぎない。また国際投資機関(OII)によると、ドイツは対米直接投資額で5位だが、サウジが20位以内に入ったことはない。
トランプ氏はビジネスマンとして、投資家や当局者から何かを得る必要があれば愛嬌を振りまいてきた。こうした戦術は、サウジではなく欧州に使った方が米国の利益に適うのではないか。
●背景となるニュース
*先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)を終えたトランプ米大統領は30日、ツイッターに「米国はドイツとの貿易で極めて巨額な赤字を抱えている上、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)で支払っている軍事費はあまりにも少ない。米国にとって非常に悪いことで、変えていく」と投稿した。
*トランプ氏は24─25日のNATO首脳会議で、国防費を国内総生産(GDP)比2%超というNATO指針の水準に押し上げるよう加盟国に求めた。加盟28カ国中、この水準を達成しているのは米国、英国、エストニア、ギリシャ、ポーランドの5カ国のみ。トランプ氏は、他の加盟国がこの水準を満たせば、NATOの防衛費は1190億ドル増加すると主張した。
*一方、トランプ氏は大統領就任後初の外遊でサウジアラビアを訪問。ホワイトハウスの力添えで、米国はサウジから総額1100億ドル相当の武器売却契約を獲得した。サウジは米国からの武器購入を以前から望んでいたが、これまではオバマ前政権が難色を示したこともあり、実現していなかった。
Gina Chon
2017年 5月 31日 1:29 PM JST