0001鳥獣戯画 ★
2022/11/15(火) 08:20:09.53ID:+O7KTI/3https://diamond.jp/articles/-/312741
■エンドロールでよく見る「○○製作委員会」とは?
アニメが日本を代表するカルチャーの一つになって久しい。宮崎駿氏、細田守氏、新海誠氏といった作家性の強い監督の作品のみならず、『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』をはじめとするエンタメ系作品の大ヒットが続いているのはご存じの通りだ。
老若男女問わず、アニメファンを公言することが当たり前の時代になった。
しかし、日本はこれほどのアニメ大国でありながら、「アニメがどのように作られているのか」という舞台裏を知る視聴者はほとんどいない。
そこで今回は、劇場版『ONE PIECE』やTVアニメ『プリキュア』シリーズを手掛けた経験を持つ大塚隆史監督への取材を基に、一般的なテレビアニメができるまでの大きな流れを追ってみよう。
まずはアニメ作りの体制について説明する。アニメのエンドロールで「○○製作委員会」というクレジットを見たことがある人は多いだろう。この委員会は、アニメ制作会社や出版社、テレビ局、広告代理店、ビデオメーカー、玩具会社など、アニメ制作に出資する会社が参加する組織だ。
アニメの企画は、こうした出資元などが集まって、製作委員会を立ち上げるところからスタートする。製作委員会は最初に、現場のトップを選定する。対象となるのは、プロデューサー、そして監督だ。
選ばれたプロデューサーと監督はその後、作品が目指すべきビジョンを詰めていき、ビジョンを実現してくれるメインスタッフを選出する。本連載で話を聞いた大塚監督の場合は、「キャラクターデザイナー」「美術監督」「脚本家」をメインスタッフの三本柱に据えている。このうちキャラクターデザイナーとは、登場するキャラクターの絵(作画)の見本を作る仕事だ(詳しくは本連載の第2回『プリキュア手掛けたアニメ監督が解説、原作とアニメで「キャラの絵が違う」理由』を参照)。
美術監督は、作品の舞台となる背景画の責任者。メインの舞台となる背景の見本(美術設定)を作る。脚本家は、アニメの物語(セリフやアクションなど)を文章にする人である。
三本柱の働きによって、キャラクターデザインと美術設定、そして脚本が出来上がると、今度は監督や演出家(各話で異なる)が絵コンテの作成に入る。
絵コンテは「アニメの設計図」といえるものだ。どんな絵が、どのような動きをして、どんなカメラワークで、どんなセリフや音が入るのか、映像を完成させるのに必要な情報が全て書き込まれる。
そのため、アニメの工程を全て理解していないと作れない。
■アニメの絵は人物と背景を別々に描く
次に、絵コンテを基に、アニメーターが「レイアウト」を描く。レイアウトとは、カメラアングルを決めるための絵だ。同じカットでも、角度や構図によって、視聴者に与える印象や見やすさが大きく変わるため、アニメ作りの肝といえる作業である。
このレイアウトを起点に、人物を描く「作画」と、背景を描く「背景画」に分かれて、分業で制作していく。そう、アニメの絵は、人物と背景を別々に描いているのだ。人物を描くのは、「原画」「動画」という役割で呼ばれるアニメーターたちだ。原画の担当者が制作するのは「キャラの動きの起点になる絵」である。状況によって異なるが、主にキャラの「動き出し」「動きの途中」「動き終わり」を描く。
動画の担当者は、原画の清書をしたり、原画と原画の「間」で使われる絵を描いたりする。原画だけでは、絵をつないだときにキャラの動きがカクカクしてしまうため、動きを滑らかに見せるための動画が必要になるのだ(詳しくは連載の第1回『プリキュア手掛けたアニメ監督が語る「作画崩壊」真の理由、揚げ足取りの場合も』を参照)。
これらを合計すると、30分(本編21分)のテレビアニメには、1回当たり7000枚前後の絵が使われている。 ちなみに、この段階では、まだ人物には色が付いていない。「色指定・仕上げ」と呼ばれる担当者たちが、動画に色を塗る役割を担っている。色が塗られた絵を指す「セル画」という名前を聞いたことがあるアニメファンも多いのではないだろうか。人物画と背景画の分業に話を戻そう。人物を描く作業と同時並行で、「背景(美術)」と呼ばれる職種の人たちが、「背景画」の作成を進めている。背景画は、「レイアウト」や「美術ボード」(背景制作の指針にするサンプル)を見本にして、色塗りを含めて完成させる。当然ながら、そこに人物などのキャラは描かれていない。
■「セル画」と「背景画」を撮影で合体させる!
こうした分業によって別々に出来上がったセル画と背景画を、「撮影」と呼ぶ作業によって合体させる。
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