2022年8月27日 19:00

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「劇場版 Gのレコンギスタ V 死線を越えて」
(C) 創通・サンライズ

富野由悠季原作・脚本・総監督による劇場版「Gのレコンギスタ」(「Gレコ」と略)が完結した。2016年に放送されたテレビアニメ全26話を全5部作としてまとめ直したもので、「IV 激闘に叫ぶ愛」「V 死線を越えて」とクライマックスの最終2部は一挙公開である。
 テレビ版ブルーレイソフト各巻の解説書に寄稿し、締めくくりの富野由悠季監督インタビューも担当したから一度終わっている気になって油断していた。
ところが今回の連続公開で、「実は何にも分かっていなかった」と気づかされてしまった。題名の「レコンギスタ」は、最終2部になって本編に登場する。元になった「レコンキスタ」、つまり8世紀から800年にも及ぶイベリア半島再征服活動についても、調べてみたくなった。
つまり「刺激を受けたら、自分で疑問を持ち、積極的に調べて考えてみることが肝要だ」と思わされたのである。これは富野監督が「子どもに向けた」と語った真意でもあろう。
 もともとテレビ全話の脚本を富野監督自身が手がけていたため、劇場化でも作品内容は大きく変わっていない。説明をセリフで丁寧に入れ、
主役のベルリとアイーダ中心にキャラクター描写と語り口を変え、さらに戦闘シーンは苛烈にパワーアップされるなど随所がリニューアルされているが、印象が変わった理由はそれではなさそうだ。
 やはり大きいのは「世情の変化」である。受け手としての心情が丸ごと変化したという実感がある。テレビから劇場への移行期間、ことに2020年以後に複数起きた、世界規模の激震の影響ということだ。
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