マグミクス6/21(火) 18:30配信
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かつては、ほぼ全てのゲームソフトに「紙の説明書」が付属していました。ですが、現在のゲームには紙媒体の小冊子はほとんど付かなくなっています。操作方法や遊び方が書かれた、ゲームプレイには欠かせないと思われていた説明書は、なぜ消えてしまったのか。

■プレイ前に、気持ちを高揚させてくれた「ゲームの説明書」
ゲーム業界において、目に見えて分かる大きな変化のひとつは、小冊子形式の「説明書」の衰退です。保護ケースのなかに必ず封入されていた説明書は、今や絶滅の危機に瀕しています。

「ゲームの説明遺書」はどこへ消えたのか。なぜ衰退していったのか。変わりゆくゲーム文化の一端を、消えゆく小冊子の視点から眺めてみましょう。

●ただの操作案内ではなかった「ゲームの説明書」

 今日のような通販やDL販売がなかった時代、ゲームはお店に行って購入するものでした。徒歩圏内にゲーム屋がない場合も多く、電車で大きな町へ行き、そこで買った方も多いでしょう。

 帰り道。買ったばかりのゲームに期待を寄せつつ、車内で「ゲームの説明書」を読むひとときは、ワクワクが何倍にも膨れ上がる至福の時間でした。操作方法の把握はもちろん、世界観やあらすじを読んで想像を広げ、登場キャラクターをチェックしては新たな出会いに想いを馳せる──それは、冒険の入り口を覗き込むようなトキメキです。

 こうした「ゲームの説明書」文化は、ファミコン時代から連綿と受け継がれてきましたが、任天堂ハードならWiiからWii U、PlayStation系列だとPS3からPS4の辺りで、小冊子としての説明書が急速に衰退し、次第に見かけなくなります。

 胸を高鳴らせた説明書が、不要の存在へと移り変わったゲーム業界。一体何があって、「ゲームの説明書」は姿を消そうとしているのでしょうか。

●説明書の役目を奪っていく、親切丁寧なチュートリアル

●説明書にも押し寄せる「電子化の波」

●生産費用や在庫リスクを踏まえたコストカットの影響も

●「説明書」の需要は、ユーザー側でも意見が分かれる

 定番化したチュートリアルの存在、DL版の普及に伴う説明書の電子化と一本化、生産時における費用の削減など、様々な理由で「紙の説明書」が廃れていきましたが、大きな理由はもうひとつあります。しかもそれは、ゲームを作る側ではなく、それを遊ぶプレイヤー側の事情が関わる話です。

 最初に触れた通り、小冊子の説明書をワクワクしながら読むゲームファンは間違いなく存在します。ですが、それは全員ではありません。楽しく読む方がいるのと同様に、説明書を全く読まない人たちもいるのです。

 チュートリアルの発達により、そうしたユーザーが増えた面はありますが、ゲーム内の説明がまだ不十分だったファミコン・スーファミ時代にも、説明書を読まない派が一定数いました。これは良し悪しではなく、タイプの違いと言うほかありません。

 楽しみにしている方もいれば、全く読まない人もいる。それは、「必ずしも全員が必要とはしていない」と受け取ることもできます。人を選ぶ楽しみだとすれば、優先順位を下げようと考えるのも無理のない話でしょう。そこに、電子化での代替やコスト面のリスク低下などが加われば、小冊子の廃止も止むなし。こうした複数の背景が絡み合った結果、パッケージの簡素化が進み、「紙の説明書」が消えようとしているのです。

●「紙の説明書」をかろうじて継続するメーカーもあるが…

 小冊子としての「ゲームの説明書」を好んできた方にとっては、この状況は残念のひと言に尽きます。一部のメーカーでは、薄めながら小冊子を付属させているケースもあり、例えば『イースIX -Monstrum NOX-』(日本ファルコム)や『地球防衛軍5』(ディースリー・パブリッシャー)などのパッケージ版に、12ページほどの「ゲームの説明書」が封入されています。

 なかには、往年のボリュームに負けない30ページ超えの説明書を用意した『閃乱カグラ Burst Re:Newal』(マーベラス)などもありましたが、全体的な傾向はペーパーレスに傾いており、何らかのブレイクスルーでもなければ、紙の説明書はこのまま消え行くのみです。

 ゲームの説明書は、どこに消えていくのか。せめて、その最後の姿を見届けたいものです。

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