[ 2019年7月29日 05:30 ]

 「和食界の至宝」と呼ばれ、人気グルメ漫画「美味しんぼ」にもたびたび登場した西健一郎(にし・けんいちろう)さんが26日夜、肝不全のため東京都文京区の病院で死去した。81歳。京都府出身。葬儀は近親者のみで行う。後日、お別れの会を開く。

 関係者によると、最近は心臓疾患の手術などで入退院を繰り返していたが、店主を務める日本料理の名店「京味」(東京・新橋)には入院中も顔を出していたという。

 著名な料理人だった西音松さんの四男で、17歳から京都の名店で修業。1967年、30歳で開いた「京味」は、有吉佐和子や志賀直哉ら文化人のほか、財界や芸能界の大物ら多くの食通に愛されてきた。大切にした言葉の一つが「安いものには手をかけろ」。安くても旬の食材を、高級食材に負けないよう手をかけるという哲学を貫いた。

 漫画「美味しんぼ」にも、主要キャラクターを手助けする役などで実名で登場。原作を手掛ける雁屋哲氏は、過去にブログで「料理は芸術であるという命題をそのまま表象して下さっている方の一人」と絶賛。西さんの素材の良さを引き出す真摯(しんし)な姿勢や、もてなしの心が作品に描かれた。


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