その他 特集 2019.6.3 Mon 15:00
ゲーム性を示す区分として、RPGやACT、ATGといったジャンルがあります。また、「死にゲー」や「泣きゲー」といった言葉でゲームの方向性をカテゴライズし、本質を分かりやすく伝える言い回しも存在します。
プレイしていると気持ちが引きずられてしまう「鬱ゲー」や、素晴らしい完成度を讃える「神ゲー」など、その言い回しは多種多様。使われやすいワードだけでも、両手の指では足りません。
そんな言い回しの中には、突き抜けた“おバカ”を感じる作品に対する「バカゲー」という言葉もあります。この「バカゲー」は、馬鹿馬鹿しさや常軌を逸したセンスに溢れたゲームを総称する言葉で、文字から受ける印象そのままの意味合いです。ちなみに、“面白くない、完成度が低い”といったネガティブな印象を与えるソフトは「クソゲー」と表現することが多いので、この「バカゲー」はポジティブな方向で使われる傾向にあります。
「バカゲー」は長いゲーム史の中でたびたび登場しており、各ハードを代表するような作品がいくつも存在します。もちろんプレイステーションの時代にも、様々な「バカゲー」がリリースされました。その、数多ある「バカゲー」のひとつであり、他の「バカゲー」に負けない強烈な個性を放っていたのが、『せがれいじり』です。
『せがれいじり』が発売されたのは、1999年6月3日。今日でちょうど20周年を迎えます。アニバーサリーイヤーを迎えた愛すべき「バカゲー」の魅力を紹介すると共に、数々の「バカゲー」を軽く振り返ってみたいと思います。
◆「せがれ」を「いじって」大きくしよう! 堂々とした下品とナンセンスが清々しい
「バカゲー」と呼ばれる作品には大別して2種類あり、ひとつは制作側がナチュラルに生み出してしまう場合です。作っている段階でおかしいとは思わず、しかし世に出た時に「このゲームはおかしい、どうかしてる」といった評判を受けるのがこちらのタイプです。
もうひとつは、制作側が「バカゲー」を狙うタイプ。意図したものが、意図した通りに伝わっているので、狙いとしては非常に正しい流れです。その方向性が、「バカゲー」だっただけで。しかし、「バカゲー」を狙って作るのは、言葉で言うほど簡単ではありません。「俺って、何言っても許されるタイプだろ?」と口にする人ほどあまり許されていませんし、「私ってほら、天然だから」と言う人は間違いなく計算するタイプです。
しかしこの『せがれいじり』は、「バカゲー」を狙い、そして見事成功を収めた作品となりました。発売元のスクウェア・エニックス(当時のエニックスが発売)の公式サイトを見ると、「各所から、“おバカ”“くだらない”“まっとうなゲームではない”と大絶賛を賜っております『せがれいじり』。“おバカに徹する”と言うコンセプトの本作は、ある意味“おバカ”につけるリトマス試験紙です」といった説明文が。公式の紹介内容からして、本作の“おバカさ”が突き抜けていることが分かります。
本作の主人公は、タイトルにもある「せがれ」。そのビジュアルは、少年のような体を持つ、頭が矢印なキャラクターです。なぜ矢印なのか、その理由は「せがれはサナギなので」とのこと。説明になっていない説明が、早速「バカゲー」の片鱗を感じさせます。
そんな「せがれ」は、ヒロインである「むすめさん」に惹かれ、彼女とラブラブになりたいと思いました。そんな「せがれ」に、「ママ」(見た目は、なぜかキリンの首)は、大きくなったらねと言うと、「せがれ」は大きくなろうと決意。この目的を叶えるため、「せがれ」を「いじり」、大きくさせるべくプレイヤーが奔走します。ちなみに、プレイヤーが頑張ることで、なぜか「ママ」が大きくなっていきます。・・・プロローグを説明しただけで、本作の「バカゲー」ぶりが如実に分かります。
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www.inside-games.jp/article/2019/06/03/122620.html