ミッキーマウスは、1928年にアメリカで公開された短編アニメーション「蒸気船ウィリー」に登場してから90年以上愛され続けているキャラクターです。2024年1月にこの「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間が終了すると、ついにミッキーマウスがアメリカ本国でパブリックドメインの一部となります。世界でも最も有名なアニメキャラクターの一つであるミッキーマウスの著作権が消滅するとどうなるのかをArs Technicaが解説しています。

Mickey Mouse will be public domain soon—here’s what that means | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/01/a-whole-years-worth-of-works-just-fell-into-the-public-domain/

1998年にアメリカで制定された「ソニー・ボノ著作権延長法」は、1977年までに発表された作品の著作権保護期間を公表後75年から95年に延長、さらに1978年以降に発表された作品の著作権保護期間については著作者の死後70年間、法人著作品の場合は発行後95年間もしくは制作後120年間に定めました。

1924年に初演されたジョージ・ガーシュウィンによる「ラプソディ・イン・ブルー」は95年の著作権保護期間を経て、2020年1月にパブリックドメインになります。また、2021年1月にはF・スコット・フィッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」が、2022年1月にはアーネスト・ヘミングウェイの「日はまた昇る」もパブリックドメインになります。

そして、2024年1月には1928年公開の「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間が満了します。ミッキーマウスの著作権がいつ発生したかについては諸説がありますが、この「蒸気船ウィリー」の初出をもって発生したと解釈した場合、「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間満了に伴ってミッキーマウスの著作権が初めて消滅します。なお、「蒸気船ウィリー」そのものは日本では既にパブリックドメインとして公式に無料公開されています。

Cornell Law Schoolの著作権学者であるJames Grimmelmann氏は、現代のキャラクターの著作権システムは、1920年〜1930年代よりもはるかに集約的かつ包括的なものになっていると指摘、「1920年代以前にはミッキーマウスを超えるようなキャラクターは存在していませんでした。ミッキーマウスほどのキャラクターの著作権が消滅した状況は法律的に未知の領域です」とコメントしています。

2024年1月以降、ディズニーが所有していた「蒸気船ウィリー」に搭乗したオリジナルのミッキーマウスについての著作権は消滅します。つまり、2024年1月以降は「蒸気船ウィリー」に出演している姿をかたどっていれば、ディズニーに許可をとらなくてもミッキーマウスのキャラクターグッズを作成することは著作権法上問題はありません。

しかし、Grimmelmann氏によると、ミッキーマウスというキャラクターはその後数多くの作品にも出演しながら少しずつ進化を遂げているため、ミッキーマウスの著作権が完全に消滅するわけではないとのこと。その最もわかりやすい例が「白い手袋」です。ミッキーマウスは3本の黒い線の入った白い手袋をつけていますが、「蒸気船ウィリー」出演時には着用していませんでした。

白い手袋をつけたミッキーマウスの著作権が消滅するのは、「ミッキーのオペラ見学」がパブリックドメインとなる2025年以降となります。手袋の他にも、鼻や目など細かい部分でミッキーマウスは変更を重ねてきているため、現代風のミッキーマウスを著作権フリーで使用できるのはかなり先のことになると考えられます。

また、「蒸気船ウィリー」という作品がパブリックドメインとなった瞬間にディズニーはミッキーマウスの著作権を失いますが、ミッキーマウスの商標は失いません。商標法で重要な点は「消費者が製品の出自について混乱しているかどうか」であり、ミッキーマウスのケースでいえば「消費者がディズニーの公式商品であると信じるかどうか」という点です。例えば「歯磨き粉のようなアニメとは無関係な製品を販売するためにミッキーマウスを使う」といった商用例は、まるでディズニーの公式商品であるように消費者が誤解しやすいため、商標法上アウトとなる可能性が高いといえます。

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https://gigazine.net/news/20190104-mickey-mouse-public-domain/