■ダウンロード、ストリーミングを問わず違法化する場合、いわゆる「ネタバレサイト」に載った漫画の一部、TwitterなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)に載った漫画の一部を閲覧しただけで違法とみなされる可能性がある。

 私個人としては、違法の認識なくコンテンツを閲覧しただけの人を作者や出版社が告訴するとは想像できない。

 ただ、「原則として、侵害コンテンツを見るのはいけないことだ」とは言いたい。今は書籍や静止画について、それすらも言えない現実がある。

 議論の過程で、違法の認定に高いハードルを設けるのは構わない。今はその基準すらないのが問題だ。何らかの基準を決めてもらえるなら、それに合わせて啓蒙活動を実施したい。

■出版社は「漫画村」など海賊版サイトへの対策を刑事・民事含め十分に取っていなかった、との批判がある。

 講談社はこれまでも漫画村について、刑事告訴を前提に警察と1年近くやりとりしてきた。だがこれまでは刑事・民事共に業界横並びで対応した結果、スピード感に欠けていたのは確かだ。

 今後は海賊版サイト対策に強い法律事務所と組み、1社でも警察への刑事告訴や裁判所への提訴などを実行することを検討している。刑事と民事はセットで考え、運営者を特定した後は必ず損害賠償を請求する。

 被害額の算定法について検討会議でも議論があったが、現時点で請求可能額の算出に使える計算式の1つが単価×ダウンロード数であることは事実だ。

 著作権を侵害する電子コミックのリーチサイト「はるか夢の址」を運営していたとして逮捕、起訴された被告に対しては、民事でも損害賠償額をきちんと確定させたほうがいいと思っている。主犯格の人間については実刑の可能性もあるが、相当な利益を得ているとみられることから妥当だと考えている。

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01245/?P=2