■クトゥルー神話は聖地巡礼できる! だが、引き返せなくなる可能性も
──ここからはより森瀬さんの研究やお仕事について伺っていきたいと思いますが……それにしても、森瀬さんはどうしてここまでクトゥルー神話にのめり込んでいらっしゃるんでしょうか。
■森瀬氏:
もともとクトゥルー神話は趣味として好きでしたし、仕事として本も書かせていただきましたが、本格的な深みにハマったのは、2008年にラヴクラフトのいわゆる“聖地巡礼”に行ったことがきっかけなんですよね。
マサチューセッツ州を中心とするニューイングランド地方、いわゆるラヴクラフト・カントリーと言われている地域に2週間ほど滞在しました。
ラヴクラフトは「引きこもりで故郷から出なかった」とよく言われていたんですが、じつはかなりの旅行好きで、それを小説のネタにしていたんですよ。
たとえば、彼が旅行先で書いた紀行文の情景描写や、知り合いに送った手紙の文章などは、その直後の小説にほぼそのまま出てきたりします。
さらにアメリカは日本に比べると乾燥しているので、とくに東海岸の家は何百年前から変わっていないことが多いんですよ。
結果としてラヴクラフトが当時に見ていた街並みというのが、いまもある程度残っているんです。
実際にそれらを見に行ってみたところ、「なるほどね」と初めて解ったことが大量にありました。
これはもう『クトゥルフ神話TRPG』でいうアイディアロールを次々と成功させてしまったような状態。「今後10年間ぐらいこれで食えるなと……というか、引き返せないところまで来てしまったな」と思いました。
もうそれから10年が経ってしまいましたが(笑)。
──「クトゥルー神話研究家」を名乗られたのはそのころからなんでしょうか。
■森瀬氏:
自分からそう名乗ったわけではないんですけどね(笑)。ちょうどアメリカから帰ってきた後にお受けした仕事に、『クラシックCOMIC』(PHP研究所)という、ラヴクラフト作品をコミカライズしたシリーズがありました。そのうち最初の3冊の解説を僕が担当したときに、編集担当さんが僕の肩書を「クトゥルー神話研究家」と書いてくださいまして。
そのころ、自分の収入の75%がクトゥルー神話関係の仕事によるものでしたので、「これはもうプロと名乗っていいんじゃないか」となったわけです(笑)。
ですので、そんなにアカデミックな立場として研究しているわけでもないのですが、ただ、こういうアプローチをしている方というのは、国内にもそう多くはいらっしゃらないので。
──そこまで極められて、それでもまだ名乗ることに若干抵抗を感じられているのがヤバいと思います(笑)。
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