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第一話 「モブ、覚醒する」

俺の名前は……まあ、どうでもいいか。
この国では「主役じゃない奴」のことを、みんなまとめて“モブ”と呼ぶ。
そう、俺はそのモブだ。
ただ一つ違うのは――俺には推しがいる。

王都で開催される《麻雀勇者選抜戦》。
戦士、魔法使い、僧侶、僧侶(?)、そして時々モブ。
この大会で勝てば、王から「聖牌(せいはい)」が授けられるという。

俺の目的はただ一つ。
亜樹ちゃんと内川さんの笑顔を守ること。
彼女たちのチームを支える影の戦士として、
俺はリーチ棒を握る。

「勝又さん、次は俺に打たせてください」
「お前に任せる。だが、油断するな。本田は“天に愛された男”だ」

……知ってる。
だからこそ、俺は立ち向かう。
推しの笑顔を守るために。
そして、いつか本田に「お前、主役みたいだな」って言わせるために――!

(つづく)