2021年8月13日(金) 朝日新聞名古屋本社 声
社会問題解決 対話で糸口つかめ   教員 黄春陽(ファンチュニャン)(三重県 23)

 朝鮮学校の制服で登校していたら「おーい、ブス」と言われた。高校時代のこと。ネット上も
含めるとほぼ毎日、一方的に罵声を浴びせられていたので、正直慣れてしまっていた。だが
制服と容姿という何の脈絡もないことで、なぜ貶(おとし)められるのか疑問だった。

 2年前、愛知へ「表現の不自由展・その後」を見に行く予定だったその日、展示中止が発表
された。脅迫や抗議が集中したためだ。確かに内容は大胆なものだ。だが芸術に賛否両論は
つきもの。美術展という平和的手段を用いて問題を問いかけているのに、なぜ脅迫などという
暴力的行為で反発するのか。「不自由展」は互いの問題意識をもとに議論を交わす好機では
ないか。開催を楽しみにしていた一人として、話し合いすらしようとせず、暴力でねじ伏せられる
のは納得できなかった。

 反発がすべて悪いとは言わない。私の投稿だって一種の反発だ。だが社会問題は対話でのみ
解決の糸口をつかめる。互いを知る契機を暴力で失ってはならない。