6月27日(日)朝日新聞東京版朝刊「朝日歌壇」より(※は選者)

今週の基地外短歌

  「復興」の掛け声徐々に薄れきて「やるためにやる五輪」となりぬ   (横浜市)白鳥孝雄   ※馬場あき子・永田和宏

  入院ができない人をうっすらと見えなくしている「自宅療養」     (市川市)中沢庄平   ※佐佐木幸綱

  「退却」をかつて「転進」「汚染水」いま「処理水」と変はらぬ欺瞞  (長野県)山口恒雄   ※佐佐木幸綱

  無為徒食役に立たない私ですワクチン接種ビリでいいです       (沖縄県)和田静子   ※高野公彦

  根拠無きコロナ対策定まらず総理の揺れる視線のように        (観音寺市)篠原俊則  ※永田和宏

  憲法は黒田了一 日本史は直木考次郎夜学に学べど          (橋本氏)原鉄也    ※永田和宏

今週の元獄中歌人

  墨塗りのすみの下には墨よりも濃き暗闇が犇めいている        (東京都)十亀弘史   ※佐佐木幸綱