2021年(令和3年)6月18日付大阪本社
五輪 準備の時間は十分あった     無職 福田 達三(千葉県 74)

 どこかの新聞にやっと「医療敗戦」という言葉が出た(4月24日日経電子版)。その通りと思う
が、それを防ぐことに注力してこなかった日本の「政治敗戦」とは言えないだろうか。
 大勢のアスリートや観客が訪れる五輪が開かれることは何年も前から分かっていたこと。有効な手
立てを打つ時間は十分にあったはずだ。この1年、政治は医療とどう向き合ってきたのだろう。
 日本のワクチン接種率は、先進国の中でも低い。PCR検査の実施件数もなかなか増えず、それで
いて子ども用みたいな布マスクが配られた。世界のどの国よりも早くコロナ禍の被害から脱する必要
があった国は、五輪を控えた日本ではなかったのか。
 政界にはかつて故・野中広務氏や故・後藤田正晴氏のようなご意見番がいた。今は政治主導の名の
下でイエスマンを集め、苦言を呈する人材を排除している。
 これらは日本政治の敗戦、まさに惨敗と言っていい。このまま日本が沈没しないことを願う。