2021年(令和3年)6月15日付大阪本社
首相の口癖から彼の真意を探る     地方公務員 狩山 仁巳(神奈川県 64)

 菅義偉首相がよく使う言葉に「いずれにせよ」がある。質問に対してまともに答えない時に特に頻出する。ここ
から菅首相の頭の中が分かる気がする。会見では原稿を読み上げるだけ。想定問答以外の質問にはまともに
答え(られ)ない。だから菅首相の言葉に誠実さが感じられない。「いずれにせよ」の多用が不誠実さに拍車をかける。
 「いずれにせよ」は選択肢がいくつかあるが、どれを選ぼうと結果は同じと言いたい時に使う言葉だ。類語に
「どっちみち」「どうせ」があるように、ここには自分の案だろうがそうでなかろうが結果は同じだから、自分の
責任ではないというニュアンスがほのめかされる。「いずれにせよ」の多用や繰り返しは、人と対話する時点で
思考停止の状態にある証明である。
 イギリス元首相、クレメント・アトリーの言葉、「民主的自由の基礎は、他の人が自分より賢いかもしれないと考え
る心の用意である」を、菅首相に贈る。