2017年6月15日 朝日新聞 声
------------------------------
「共謀罪」再び日本孤立の道か?
作家 赤川 次郎 (東京都 69歳)

 日本にも多くのファンを持つウィーン・フィルハーモニー管弦楽団だが、
ナチスの時代、ユダヤ系の楽団員を追放し、中には強制収容所で殺された団員もいた。
この「負の歴史」が、今年広く展示され、戦後生まれのさらに後の世代の団員たちが、
同じ過ちをくり返さないために過去と向き合おうとしている。

 ところが、日本では、すでに歴史となった過去の侵略や虐殺すら否定しようとする人々がいる。
軍国主義の精神そのものだった「教育勅語」さえ評価するとは、もはや海外との歴史認識の差の
レベルではない。その人々が今手にしようとしている最悪の武器が、戦前の治安維持法に重なる
「共謀罪」法である。これがなければ五輪が開けない?ならば五輪を中止すればよい。

 たったひと月ほどの「運動会」のために、国の行方を危うくする法律を作るとは愚かの極みだ。
五輪は終わっても法律は残るのだ。法案に賛成の議員は、自分が後の世代に災いを
もたらそうとしていることを自覚しているのか。

 目先の目的のため憲法を投げ捨てて恥じない安倍政治は、日本を再び世界から孤立させるだろう。

 安倍さん、あなたが「改憲」を口にするのは100年早い。
------------------------------
前の
この時は「共謀罪」に絡めて五輪を運動会呼ばわり