2021.5.23 朝日新聞大阪版

核問題、米国への働きかけを
 無職 久野聚(愛知県 75)

 米国の元国防長官ウィリアム・ペリー氏が朝日新聞の取材に応じ、米国の核戦略について語った(9日本紙)。元国防長官の
発言だけに非常に重みを感じた。氏は今年1月発効の核兵器禁止条約を支持すると述べたほか、米国の核戦略の経緯について
語っており非常に興味深い。

 氏はクリントン政権下で「核の先制不使用」の宣言を検討したが、日本政府は反対したという。「(日本の反対は)間違った姿勢
だったと思う」と証言した。オバマ政権もこの宣言を検討したが、抑止力の低下を恐れてか日韓などの懸念が上がり断念したという。

 広島・長崎の原爆投下で多くの死傷者を出した唯一の戦争被爆国が先制不使用に反対や懸念を示すなど、日本政府はどこを
向いているのか理解できない。情けない限りだ。

 日本は核禁条約についても、他の核保有国と同様に署名・批准していない。4年前、長崎の被爆者が当時の安倍晋三首相に
「どこの国の総理ですか」と迫ったのは当然である。

 米国の「核の傘」の下にあっても日本は核禁条約への参加の可能性を検討し、米国に核先制不使用宣言を出すよう働きかける
べきである。