8月24日(月)朝日新聞東京版朝刊「声」欄

「平和主義」軽々しく流用するな   無職 松本高明(福岡県 85)

「原爆の日」の広島、長崎での安倍晋三首相のあいさつが心に響かず、コピペ批判を
浴びた。さらに15日の全国戦没者追悼式での式辞も哀悼の気持ちが十分には伝わって
こなかった。例年述べてきた「歴史」という言葉も消えた。だがそれ以上に問題視
すべきは「積極的平和主義」という言葉が初めて盛り込まれたことだ。

式辞の全文をつぶさに読んでも積極的平和主義の意味がわからない。2013年、
国家安全保障戦略を議論した有識者会議の中で浮上した用語だ。だが我々国民は
その用語の内容を十分把握していると言えるのだろうか。唐突な思いがした。

その言葉から想起されるのは、第2次安倍政権が集団的自衛権行使の一部容認を含む
安全保障関連法を制定し、後方支援の対象を米軍以外にも広げたことだ。さらに思いを
致すなら、憲法改定への首相の意図が見え隠れするようだ。

「平和主義」は憲法の基本理念の一つである。軽々しくこの言葉を使わないで
もらいたい。国民が納得する説明がほしい。だが何を述べようと、式辞の軸は
「憲法9条の死守」であるべきだと思う。
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では「戦争放棄・戦力不保持」を念仏の如く唱えてさえいれば平和を保てるのか。