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(続き)

当面の課題は日本の若い人たちの無知と無関心である。映画の中では韓国の慰安婦像の
前で日本人の少女二人が「慰安婦のことを知っていますか?」と問われて「さあ……」
と当惑する。二〇〇六年の教育基本法改正以来、教科書はこの件を扱うことを避ける
ようになった。

ぼくがこの映画を見た時は満員で、観客は時にスクリーンの発言に失笑を洩らし、
終わった時は拍手した。しかし、ああ、そのほとんどが中高年。

見終わった方にはぼくは朴裕河著『帝国の慰安婦』を読むことをお勧めする。
「主戦場」は映画としてよくできているがあくまでもレポートであって、論理の骨格に
欠ける。それを補うのにこの本は役に立つ。両国と諸勢力を公平に扱って、感情的に
なりがちな議論の温度を下げ、明晰な構図を与えてくれる。

(終り)