>>572
(続き)

もし財政を消費増税だけで安定させるなら税率20%以上が必要と専門家たちは主張する。

現実は、安倍政権が2回延期した税率10%への増税をこの10月、4年遅れでようやく
実施しようという段階だ。野党はこれにさえ反対している。

さらに安倍晋三首相は根拠もなく「今後10年くらいは(10%超に)上げる必要はない」と
言い切る。未来に目を背ける政治姿勢と言わざるをえない。

外交や通商政策もそうだ。国際社会の反発を受けながら、国際捕鯨委員会から脱退し、
商業捕鯨を31年ぶりに再会した。韓国向けの半導体材料などの輸出規制は、
元徴用工問題でぎくしゃくする韓国への事実上の対抗措置だった。

韓国政府の対応に問題があったとしても、これでは日本が掲げてきた「自由貿易」の
看板に泥を塗りかねない。国際協調より、相手国との対立に持ち込む「自国ファースト」の
米トランプ流にすらみえる。

財政も外交も長い時間軸の中で成否を判断すべき領域だ。まどろっこしくても地道に
少しずつ物事を解決し、持続可能なものにすることが肝要ではないか。今の政権には
そこが決定的に欠けている。

参院選で繰り広げられている与野党の論戦は「未来への責任」を果たしているとは思えない。
政治の言葉が今の自分に心地よく響いたとしても「未来の自分」に対してはどうか。

2千万円問題への反響の大きさは、未来への責任を放棄するそんな政治への、一種の
抗議メッセージだったのではないか。

(終り)