やはり期間限定の受け入れである技能実習制度をめぐる現場の声を聞くと、そう考えざるをえない。
賃金や働く時間をめぐるトラブルが頻発する一方、実習生をきちんと処遇し育てる経営者も少なくない。一人前になったと思ったら帰国し、別の実習生探しに追われる状況を嘆き、改善を求める声が後を絶たない。
高齢化と人口減が進む地方では、実習生は地域社会の貴重な一員でもある。溶け込んでは帰国するという繰り返しでは、地域づくりはままならない。
安倍政権は、事実上の人手確保策として技能実習制度の拡充を重ねてきた。それが限界に達し、新たな策を考え始めたということだろう。しかし労働者の国際的な獲得競争が激化する中で、
「日本が選ばれなくなってきた」との声が増えている。政権は「いわゆる移民は受け入れない」と繰り返す。
首相は今回、「在留期間に上限を設け、家族帯同は基本的に認めないのが条件」と強調した。しかし、より柔軟で開かれた受け入れ策を考える時ではないか。

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