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3月19日(月)朝日新聞東京版朝刊総合4面・政治断簡

編集委員 高橋純子   怒るべき時 それは今

3月12日午後7時。財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざんを
認めた日の首相官邸前に身を置き、東日本大震災から7年という歳月をかみしめた。

「改ざんするな」「佐川じゃなくて安倍が辞めろ」

シュプレヒコールが夜空に響く。ツイッターで開催が告知されたのは前日の夜。
それでも参加者の列はぐんぐん伸びていく。個人参加、SNSを駆使した新しいデモの
スタイルは、震災後の脱原発デモを契機に生み出された。

デモで社会は変わるのか?

今も投げかけられる冷笑まじりの問い。哲学者の柄谷行人氏はかつてこう答えている。
「デモで社会は変わる。なぜなら、デモをすることで、『人がデモをする社会』に
変わるからだ」

そう、この7年で確かに変わった。安倍政権下、特定秘密保護法、安全保障法制への
反対をくぐって、社会にデモという回路が組み込まれた。

「こんな人たち」の怒りの可視化。それが、デモだ。

  (続く)