痴漢が生きやすい社会、なぜ SNSで「し放題」投稿も 聞き手・千葉雄高 2018年3月7日20時15分

 「痴漢は犯罪」と言われ、女性専用車両などの対策が取られるようになってから、久しく経ちます。
にもかかわらず、痴漢に遭う人は後を絶たず、「Chikan」という言葉は国際語にさえなりつつあります。
痴漢を撲滅することは、できないのでしょうか。

大阪大学大学院教授 牟田和恵さん
 多くの痴漢被害があることは分かっていますが、
数の多さ、被害の質など、きちんと調査されたことがほとんどありません。

 性被害は元々声を上げにくい。痴漢は中でも軽視され、被害を訴えても周囲からは
「たまたま当たっただけかも」などと言われ、「女に見られたってことだ。良かったね」と笑いごとにされることも。
被害のために会社に遅刻したり電車が遅延したりすると
「痴漢くらいで大騒ぎして」と女性側が責められることさえあります。

 しかし、女性が「たまたま当たった」程度で痴漢だと思うことはまずありません。
実態は、執拗(しつよう)に触り、下着の中に手を入れたり、複数人で示し合わせて1人を狙ったりと
極めて悪質です。中高生が被害に遭うことも多い。抜本対策に取り組まなくてはなりません。

 痴漢は日本に特有というわけではありません。中国や韓国、欧米でもあります。
英国の社会学者アンソニー・ギデンズは、家父長制的な制度が衰退し、
優位に立てなくなった男性の不安や無力感が、性加害やDVにつながっていると指摘しています。
性加害やその根底にある男尊女卑的な考えは、多くの社会に共通する課題です。(以降有料記事)

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