>>480

――日本の人々に伝えたいことはありますか?

 「慰安婦像の横に『弾丸マン』を置いた嫌な画像も見ました。
もし、その弾丸マンが自分自身だとすればどんな気持ちになるか、一度考えてほしいです。
私たちは、家庭で、小さいコミュニティーで、自分が所属している社会で、
自分たちを守るためにフェンスを立てて、さらには暴力と偏見で武装して、
他人を排斥しながら生きています。
昔、自分たちが行った過ちを反省することがそんなに難しいのか。
男性的、または社会的権威に大きな傷がつくのか。問いたいと思います」

――韓国には、第2次世界大戦や朝鮮戦争などの「弾丸」、経済成長や通貨危機などの
「富」を考えさせる歴史があります。影響は受けていますか?

 「最初から歴史的、社会的なテーマに注目して作業したわけではありません。
むしろその反対です。
韓国や日本は依然として家父長的で、男性中心的な社会文化システムに慣れて生きています。
真の人間性の問題意識のないまま、与えられた社会・政治・文化的なイデオロギーの中を
過ごさなければなりません。実は、私の父は植民地時代、日本に強制徴用されました。
朝鮮戦争当時は、北朝鮮軍として参戦し、その体制が嫌で捕虜として南に残り、
その後は韓国の軍隊に入隊し、悲運の時代を生きました。
北朝鮮に残した家族(娘たち)への思いを抱いたまま、亡くなりました。
私の父の世代はこうした激変する時代の暴力の犠牲になってきました。
こうした経験から、社会、文化、政治的な現象に批判的な目を持つようになったように
思います」