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地方や参院も含めて設計を

有力な野党が育っていないのはなぜか。原因は小選挙区比例代表並立制それ自体とは
別のところにある、とする議論も現れている。

選挙の面で、「衆議院、参議院、地方政治に異なる制度を用いてきた」ことが、
二大政党制の実現しない理由だ。政治学者の建林正彦・京都大学教授はそう訴えた
(日本経済新聞12月18日)。

改革は「政党本位の政治」を促す仕組みを衆院に埋め込んだ。だが地方議会などには
「候補者個人本位の選挙」など、少数の支持で当選できる仕組みが残っている。
それが二大政党化を阻んだ原因であるとした。

「衆院の制度を変えれば日本政治のすべてが変わるという観測が改革の中にあったの
では」。取材に対し建林さんはそう語った。「優先すべき改善は、政党本位の政治
という目標に向けて地方政治や参院まで含めた整合的な制度設計を考え直すこと
だろう」

神戸大学教授(政治学・行政学)の砂原庸介さんも、「個人」で選ぶ制度が地方議会に
残る影響に着目する1人だ。国政野党が育つ環境づくりのため、地方議会に
比例代表制を導入するよう提言した(本紙1月17日夕刊・東京本社版)。

他方、小選挙区制を本格的に見直す作業はまだ早い、とする声もある。「一つの
選挙制度が一国の政治社会に根付き政治文化を形成するには、1世代にあたる30年
くらいかかると思う。まだ途上だと考えている」政治学者の宇野重規・東京大学教授
はそう言う(毎日新聞10月24日)。

  (続く)