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作家 赤坂真理さん   憲法「わからない」から始めたい

憲法改正は時間の問題かもしれませんが、護憲派も、改憲派もウソがある。

「日本人の平和に対する願いが憲法に実った」と護憲派は言ってきましたが、隠してますよね。
「GHQ(連合国軍総司令部)の民政局が草案を書きました」となぜ言わないのか。「もらったの
だけど、美しく、精神的な支えになりました」と言えばいいでしょう。

改憲したい安倍晋三首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」と言いますが、その内実は
戦後レジームそのもの。トランプ米大統領就任直後に訪米した安倍首相はハグされて
喜んでいましたが、「恥ずかしいほどの対米追従」です。

憲法といわれても私には正直、自分たちのものだという体感がない。憲法で権力を制限する
という「立憲主義」。立憲民主党の枝野幸男さんは衆院選で「立憲主義に戻ろう」と語って
いましたが、「人権宣言」や「独立宣言」など、憲法の大もとみたいなものをつくった欧米と
日本では、憲法が出来た背景が違います。欧米に学び、立憲主義はこういうものだという
けれど、憲法という概念を腹の底から欲した経験が私たちにはありません。

憲法も、立憲主義も、民主主義もわからない。そこから始めたい私にもわかるテキストが今、
世界のニュースにあります。トランプ大統領です。難民の入国宣言などを巡って、大統領令が
司法によって何度も差し止められました。憲法がまさに機能しています。「憲法を保ち、保護し、
守る」。これが米国大統領就任式での宣誓内容です。

立憲主義が本当にあるなら、それが書かれていないことが日本国憲法の大きな不備かも
しれません。「憲法は時の政権や政府の上位にあるもの」。そんな条文を書き加える議論が、
まずはあっていいと思います。

  (続く)