80歳 無職 白武留康  佐賀県 (2017年8月23日 朝日新聞 声)
=平和と繁栄は戦没者のお陰か=(東京本社版)
=戦没者を「尊い犠牲」とあがめるのは戦争美化だ=(一部地区版)

 全国戦没者追悼式の首相式辞で述べられる「いま、私たちが享受している平和と繁栄は、
かけがえのない命を捧げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであります」という言葉に、
私は以前から大きな違和感を持ち続けていた。

 私の兄も3人が出征。長兄は顔面に大きな傷を負った。次兄は飛行機で墜落し戦死、三兄は
結核を患い復員したが、家の片隅で水ものどを通らなくなり、無念のうちに死んだ。共に19歳だった。
他の兵たちも同じようなものだったろう。今日の平和と繁栄のために死んでいくのだと、あの戦没者たちの
どれだけが思っただろうか。飢餓地獄となったインパール作戦のみならず、すべての戦線で見られた光景は、
残虐と悲痛と加害に終結したのではないか。

 そこにあるのは深い反省と心からの追悼のみで、今日の繁栄や平和への希望などでは全くない。
今日の我が国の平和と繁栄は、戦後72年、国民のたゆみない努力によるものとするのが真理だと思う。

 戦没者の命を「尊い犠牲」とあがめるのは戦争を美化することだ。無念のうちに死んだ人々へのむしろ
侮蔑と言うべきであろう。

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留康……末っ子さしい。