4月23日(日)朝日新聞東京版朝刊「声」欄

学芸員の仕事、正しく理解して   無職 成瀬浩一(東京都 76)

文化財観光の振興をめぐり、山本幸三・地方創生相が、
「一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない」などと発言した。
「経済効果」しか考えることのできない山本氏は、
お金で計算できないものは価値がないとお考えなのだろう。

先日、「原爆の図丸木美術館」(埼玉県)で展示されている「原爆の図」が、
虫食い被害で痛みが進んでいると報道された。
保存と展示の両立に日々頭を悩ませている同館の学芸員は、
山本氏の発言に「学芸員の仕事に全く理解がない」と語ったという。

学芸員は資料の収集、保管を始め、展示作品の保護にも神経を使う。
また、調査研究を進め、文化財の歴史的価値や普遍的価値を見いだし、
次の世代に伝えていくための大切な役割を担っている。

観光も大切な産業だ。だが、そもそも文化事業にかける国の予算は少ない。
そんななか、大切な文化財を次世代につなげる学芸員の仕事の価値を、
お金という物差しでしか見ることのできない閣僚の、
知的レベルはあまりにも低いといえないだろうか。
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自分だって人の事を、「お金という物差しでしか見ることのできない」とか、
「知的レベルはあまりにも低い」とか、一方的に決めつけているじゃないか。