>>858
一つは、自前でワクチン開発する体制が弱いことでしょうね。
日本のワクチン行政は、国際的にみても遅れている。
1940年代の不活化されていないジフテリアワクチンの事故、1970年代に天然痘が消えた後の種痘で脳炎が多発した問題、平成元年導入のMMRによる無菌性髄膜炎多発など、訴訟などで国民が騒ぐのに厚労省がこりている。
絶対安全なワクチンなんて幻想なのに、リスクをとって新規承認するようなことがなくなった。
作っても承認されるかどうかわからないようなワクチンを国内メーカーが開発するのは無理ゲーだろう。
そもそも、未知のウイルスによるパンデミックを想定した危機管理体制が存在しなかった。
パンデミックは戦争と同じ、国としての有事であって、戦時体制をすぐにとれるような国の方が、資源を総動員して大規模な規制や命令によって流行を征圧しやすい。
次のパンデミックは必ず起こるし、もし生物兵器が使われたらもっと厳しいことが起こるかもしれないわけだが、それまでに日本が有事の備えを整えない限り、いち早くワクチンを開発できる可能性はないだろう。

もう一つは、抜け駆けをしてワクチンを買い占めるのをよしとしない文化もあるかなと思う。
自分の国のために、よその国にまわるはずのワクチンを横取りする、そういうことが当然だと思う日本人は、意外と少ないようだ。
他国が争奪戦をしていることが情報として伝わってきても、日本も負けずに札束でぶんどってこい、という論調は目にしない。
抜け駆けをしないのは、短期的には損をするが、長期的には美徳として評価されるものだと思うので、一概にそれがだめだともいえない。
ならばなおさら、国内でワクチンをすぐ開発できるような体制を作るべきではないかと思う。

それだけ不利でも、世界でいち早く「三密」を避ければ流行を抑えられると見抜き、自主的な行動変容を呼びかけるだけで、優秀な水準で感染を抑え込んでいる日本はたいしたもんだと思いますよ。