育休取得の手続き中に退職させられたとして、歯科
衛生士の女性が勤務先の東京都内の歯科医院に対し
地位確認と約800万円の損害賠償を求めた訴訟の
判決が22日、東京地裁であった。若松光晴裁判官
は「育休取得などの権利を侵害した」と認め、従業
員としての地位を確認し、慰謝料200万円を含む
約700万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2015年9月から産休に
入り、11月に出産。産休中から育休取得を申請し
ようとしたが手続きを拒まれ、翌年1月に退職願用
紙が自宅に届いた。その後、自己都合退職扱いとさ
れた。

 若松裁判官は「マタハラ根絶の社会的要請も高ま
っている」と指摘。「妊娠を理由とした降格で慰謝
料100万円を認めた裁判例があるが、今回は違法
性が強く200万円を要する」と判断した。

 判決は、「理事長の男性が『産休を取る者は賞与
を請求しないのが普通』との独自の見解を持って
いた」と述べ、そのため女性に不快感を抱き、強引
に退職扱いにしたと結論づけた。