痴漢起訴の男性に無罪 さいたま地裁「合理的疑い残る」

2015年2月9日(月)
昨年3月、東武東上線の電車内で女性に痴漢行為をしたとして、県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の罪に問われた、東京都の男性会社員(37)の判決公判が9日、さいたま地裁で開かれ、
仁藤佳海裁判官は「被告人が本件行為に及んだと断定するにはなお合理的な疑いが残る」と無罪(求刑・罰金50万円)を言い渡した。

判決で仁藤裁判官は、女性が痴漢被害に遭った事実を認定した上で、女性が男性の手をつかんだときの状況について、
「曖昧な部分が残り、被告人以外の者が本件行為に及んだのではないかという疑問が生じる」と指摘。
女性がスカートの上から臀部(でんぶ)を触られる被害に遭ったという供述は信用できるとしたが、「被告人が本件行為に及んだと断定するにはなお合理的な疑いが残る」と判断した。

男性は昨年3月6日午後11時10分ごろ、東武東上線朝霞駅―朝霞台駅間で、
女性のスカートの上から臀部を触ったとして逮捕、起訴されていた。

男性は一貫して無罪を主張していた。
男性の弁護人は「女性との位置関係など、(判決は)われわれの主張したことをかなり拾い上げてくれたと思う」とコメント。
男性は無罪判決言い渡し後、ほっとした様子を見せていたという。

さいたま地検の片山巌次席検事は「判決を精査し、上級庁と協議の上、適切に対処したい」としている。