629 名前:たまちゃんねえさん[] 投稿日:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:1ajP44Xh [2/2]
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犬を先頭に、人間ふたりが2、3M遅れて一緒に歩く、というかたちで、
上り道を歩いて行った。

人間が止まると犬も止まる。
そして、振り返って「わんっ」と軽く吠える。

7、80Mほど行っただろうか。
犬がぴたりと止まった。
そこには道の片側に上りの石段が10段ほど続いてあり、
民家があるのが見えた。
犬はその石段を上がって門の中へ消えて行ってしまった。

「行っちゃったね」と言いながら、
短い散歩を終えようと、来た道を戻ろうとしたときだった。

犬が門のところに再び現れた。
口には子犬をくわえて。
見ていると、足元にほかの子犬もころころしてる。
子犬たちをうながしながら、犬は石段を降りてきた。

「かわいい子どもたちだね〜」
と子犬をなでくりまわしていた私たちを、
見てる母犬は、とても自慢げだった。
民宿へ戻るとき、母犬は「え、もう戻っちゃうの?」みたいな顔をして
見つめてた。

子どもを守るために、人間を遠ざける親犬は多いと思っていたが、
わざわざ「うちの子、見に来て〜」「ね、ね、かわいいでしょ〜〜」と
招待する犬がいることを、そのときはじめて知った。