《児童ポルノ禁止法の改正について》

2014年7月15日に改正された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護に関する法律」

児童ポルノは、児童に対する性的搾取や性的虐待といった児童に対する重大な権利侵害をもたらすものです。
日本では、1999年に、児童に対する性的搾取や性的虐待から児童を守るために、児童ポルノ禁止法が作られました。
その後、2004年に改正がなされましたが、インターネットの発達に伴い児童ポルノ被害が増加していることや児童ポルノの単純所持を処罰すべきという意見が強まってきたことなどから、今回の改正がなされました。
今回の改正の主な点は、児童ポルノの定義の明確化がなされたことと児童ポルノを所持しているだけでも処罰される単純所持罪が導入されたことです。
児童ポルノの定義については、あいまいであるという批判がありました。今回の改正では、あいまいであると批判されていた定義規定(法2条3項3号)につき
「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、
かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」として、太字部分が追加され、対象部位の明確化等が行われました。
また、児童ポルノの単純所持は、従来規制されていませんでしたが、今回の改正では、
「何人も」、「みだりに児童ポルノを所持」してはならないとして、単純所持を禁止する条文ができました。(法3条の2)
さらに、「自己の性的好奇心を満たす目的」で、児童ポルノを所持している場合には、
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるという処罰規定も作られました(法7条1項)。
なお、この単純所持罪の処罰規定は、法律の施行から2015年7月から適用されています。
今回、定義の明確化がなされましたが、児童ポルノに該当するかどうかの判断は依然として非常に難しい問題であるため改正を受けた警察等の法執行機関の運用に注目が集まってきましたが、規制の強化がされてきています。
製造・販売のみならず、購入者も購入リストから摘発されています。
2017年の法改正以前に作られた流通DVD等も上記の改正内容に該当するものは児童ポルノと判断されることもあります。

Yahoo!JAPANでは、インターネット上の児童ポルノの問題について、2011年から
一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)の設立を主導するなどして流通防止策の推進に取り組んでいます。

児童買春・淫行等に該当する犯罪は法律および条例で規定されています。

《児童ポルノ法》
児童ポルノ法違反は、児童(18歳未満の者)等に対し、対価を供与し、又はその供与の約束をして、児童に対し性交等をすることにより成立します。
法定刑は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児童ポルノ法4条)

《児童福祉法》
児童福祉法違反は、児童に淫行をさせる行為を行った場合にも成立し、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこの併科となります(児童福祉法60条1項)

《青少年保護育成条例》
東京都の場合、東京都青少年の健全な育成に関する条例違反は、青少年(18歳未満の者)とみだらな性交又は性交類似行為を行った場合に成立し(同条例18条の6)、この場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(同条例24条の3)

このような条例はほとんどの都道府県で制定され、県で制定されていなくても市町村単位で制定されている場合があります。
児童ポルノ法の場合は、対価を供与または供与の約束が必要であるのに対して、児童福祉法および条例の場合は、対価の供与がなくても行為を行っただけで成立するという違いがあります。

《子どもの権利条約》
第1条 子どもの定義
18歳になっていない人を子どもとします。

第32条 経済的搾取・有害な労働からの保護
子どもは、むりやり働かされたり、そのために教育を受けられなくなったり、
心やからだによくない仕事をさせられたりしないように守られる権利があります。

第33条 麻薬・覚せい剤からの保護
国は、子どもが麻薬や覚せい剤などを売ったり買ったり、使ったりすることにまきこまれないように守られなければなりません。

第34条 性的搾取からの保護
国は、子どもがポルノや売買春などに利用されたり、性的な暴力を受けたりすることのないように守らなければなりません。

第36条 あらゆる搾取からの保護
国は、どんなかたちでも、子どもの幸せをうばって利益を得るようなことから子どもを守らなければなりません。
(UNICEF)