――今回のアップデートで、フィーストはまた大きく変わっていくと思います。2018年はe-Sportsも盛り上がっていくように感じるのですが、吉田さんが今後フィーストをこういう風にしていきたいという展望があればぜひお聞かせください。

吉田氏:
あくまで僕個人の見解ですが、現状の「e-Sportsを流行らせよう」という風潮が強くなりすぎなければよいな、と思っています。
……なんというか、少し急ぎ過ぎているように感じてしまうんです。
これまで日本のプロゲーマーの土壌を支えてきた、あるいは土台を作ってきたのは「コミュニティ」です。もっとも大切にすべきコミュニティが、今の風潮の中心にいない。
その点に危機感を覚えています。
だから、今は産業としての日本のe-Sportsがどうというよりも、まずは一生懸命競技と向かい合っている人たちが、しっかりと目標にできる大会を作る。
それをグローバルでしっかりと実施する。
“見ていて面白い”、“やっていて白熱する”、“自分もそれを目指したい”と思えるような座組に仕上げていく。
もちろん時間はかかりますが、格闘ゲームというジャンルだって、そうやってプロゲーマーを生み出してきました。
そうしていく中でバトルのルールも改修を重ね、「これでいい!」と思えるようになったら、もっと常に大会が運営されている状態を目指したいのです。
僕たちには諸外国に比べ、圧倒的に「大会運営」という経験値が足りません。
我々が地道な努力を重ね、2年、3年と実績を作っていき、競技人口もそれだけ大きくなってから、初めてスポンサーという概念が加わるのが理想的だと思うのです。
実は現状でも、スポンサーになりたいと仰ってくださっている企業の方がいらっしゃいます。
しかし、絵に描いた餅になるのは嫌なので、フィーストがこれまで一歩一歩やってきたように、こうした活動も一歩一歩地道に進んでいければと考えています。