当時の1年生にとって毎日のスケジュールは以下のものだったという[9]。

・朝は6時半ごろに起床する。目覚まし時計を設定するが、同部屋の上級生を起こさないようにその鐘を鳴らしてはならず、鐘が鳴る寸前の「カチッ」という動作音で飛び起きて音を止めた。
・ 起床後に掃除と教団へのお祈りを済ませたのち、1年生は自身が付き人とする担当上級生の食事の準備を行い、それを伝える。

・ 寮から高校へは2kmほど離れており、1年生全員で集団登校を行う。登校は3列か4列の縦隊を組み、連帯歩調で行進する。
 大声で「歩調、歩調、歩調、やめ!1、それ、2、それ、3、それ、4、それ、1、はい、2、はい、3、はい、4、はい、1234、1234……」などと叫びながら行進する。
 その途中も常に上級生たちが通りがかるたびに監視しており、もし足が揃っていなかったり声が小さかったりすると暴行を受ける。

・野球部員は学校の授業は5時限で終わる。その5時限目の途中に1年生は靴を外履きへ履き替え、終業のチャイムが鳴った途端に全速力で寮まで2kmを走って帰る。
 なぜなら終業から練習までの間に1年生は上級生のために練習前の食事を準備しなければならないからである。そのコンロの数が限られているため、1年生同士で争奪戦になった。

・練習は午後3時から午後6時半までと、強豪の野球部としては比較的短い。しかし、1年生にとっては練習後のほうが過酷な時間帯であった。

・ 練習後に1年生が夕食の準備を行い、午後7時から9時ごろにかけて上級生たちが食事に訪れるまで食堂で待機する。

・上級生の食事中、1年生はテーブルの前で直立不動を続ける。先輩が「おかわりを注げ」と伝える合図は茶碗で机を「コン」とごく軽く叩くことであるが、1年生は疲労からそれに気づかないこともあり、反応が遅いと茶碗を顔へ投げつけられる。避けるとひどく暴行を受けるので、わざと当たりに行く。
食事後、上級生たちの残飯を1年生が集めて捨てに行くが、その際に全身に残飯の汁をかぶる。1年生は自分の衣服を洗濯する時間的余裕がなく、衣服から常に生ゴミの匂いがした。

・ 食事後、その日の練習で使われたボールをきれいに磨く。1個でも数が合わないと暴行を受ける。

・ 1年生を制裁するための時間帯が決められており、基本的に「連帯責任」として全員が暴行を受ける。寮内放送で「1年生、娯楽室へ集合」と告知され、「娯楽室」で暴行されることが通例であった。
 顔を殴ると傷跡が目立ち問題視されるため、体幹部を殴られたり蹴られたりした。ほか、理不尽な筋力トレーニングを強要されることもあった。
・その後、1年生が上級生へマッサージを行う。上級生が就寝すると終わりだが、寝たふりをする上級生もおり、1年生が「寝た」と判断して手を止めると即座に殴られる。

・1年生にとって寮生活における娯楽は存在しない。